施主検査とは?見落としを防ぐチェックのコツを元住宅営業が徹底解説

施主検査とは?見落としを防ぐコツを解説 住まい
この記事は約18分で読めます。

「施主検査って、どこまで細かく見ればいいんだろう」
そう思いながら、この記事にたどり着いた方も多いのではないでしょうか。

見るべき場所が分からず不安な上に、ここで見逃したら、引き渡し後の修理はお金がかかるかもしれない……。
そんな心配をされている方もいるかもしれません。

私は東北地方の工務店で、住宅営業として8年間働いていました。
契約から引き渡しまでの一連の流れに携わり、多くのお施主様の施主検査に立ち会った経験があります。

事前に流れと考え方さえ知っておけば、施主検査は心配するほど難しいものではありません。

この記事では、施主検査でチェックすべき場所や持ち物といった基本情報に加えて、検査そのものの仕組みや見落としを防ぐための考え方までお伝えします。
私が営業として見てきたことも、あわせて紹介します。
読み終わるころには、当日の不安が少し軽くなっているはずです。

この記事で分かること

  • 傷・不具合を見逃さないポイント
  • 神経質になりすぎない心構え
  • 打ち合わせの段階からできる工夫
  • 施主検査の時間だけで見切れないときの対処法
  • 指摘の伝え方で気をつけたいこと
完成した住宅の中で、担当者と一緒に図面を手にチェックしている施主

施主検査とは?竣工検査との違い

施主検査とは、完成した住宅が契約通りに仕上がっているかを、施主自身の目で確認する工程です。
引き渡しの直前に行われ、傷や汚れ、設備の動作などを一つひとつチェックしていきます。

住宅完成のタイミングには、施主検査以外にもいくつかの検査があり、同じ「竣工検査」という呼び方が会社によって違う検査を指すこともあるなど、似た呼び方が使われるため紛らわしく感じるかもしれません。
検査は、基本的に「誰が」「何のために」行うかで区別されます。

誰が検査するか?検査の目的呼び方
行政・指定確認検査機関
(住宅センターなど)
建築基準法に適合しているかの確認・完了検査
施工者
(工務店・ハウスメーカー)
引き渡し前の施工者側の確認・社内検査
・竣工検査
施主
(発注者)
契約通りに仕上がっているかの確認・施主検査
・発注者検査
・完成検査
・竣工検査

私が働いていた会社では、民間工事なら施主自身が確認する検査を「施主検査」、公共工事なら発注者である行政が確認する検査を「竣工検査」と呼び分けていました。

ここまでは施主検査の位置づけについてお伝えしましたが、家づくり全体の中でこの検査がどのタイミングにあたるのか、流れで見ておくとイメージがつかみやすくなります。
着工から引き渡しまでの流れは、こちらの記事で詳しくまとめています。

施主検査の流れ・所要時間・持ち物

流れ・所要時間

施主検査は、完成した住宅を、担当者と一緒に見て回りながら進めます。
建物の中と外を全体的に確認し、外構工事もあわせて依頼している場合は、外構も一緒にチェックします。

所要時間は、30分~1時間半程度です。
工事中に何度も現場を見に来ていたお施主様は、すでにあちこち確認済みのため、当日は短時間で終わることもあります。

ただ、あとから気づくような細かい傷や汚れまでは、この短い時間だけでは見きれません。
私が働いていた会社では、入居後の指摘も受け付ける前提にしていたので、施主検査の当日はあまり時間をかけておらず、お施主様も基本的に手ぶらで来られていました。
入居後の指摘への対応については、後ほど「引き渡し後の指摘にも対応してもらうコツ」の章で詳しく紹介します。

持ち物

持ち物については、絶対に必要なものは特にありません。
あったらいいかなというものをいくつかご紹介します。

  • 懐中電灯
    照明がついていないクローゼットや物入れの中を確認するために使います。
    スマートフォンのライトでも十分です。
  • マスキングテープまたは付箋
    指摘した箇所が分からなくならないよう、目印をつけるために使います。
    おそらく担当者も準備しているので、手元にあればでOKです(わざわざ買う必要はありません)。
  • カメラやスマートフォン
    指摘箇所を撮影して記録に残すために使います。
  • 図面・仕様表
    打ち合わせ内容と、実際の仕上がりを照らし合わせるために使います。
    工事の途中で更新されている場合もあるので、最新のものか確認が必要です。
  • メジャー
    検査そのものに必須ではありませんが、せっかく現場に行くので、家具の配置を考えるための採寸もするなら持っていきましょう。

傷・不具合が起きやすい場所とチェックの仕方

施主検査で、どこをどれくらい細かく見ればいいのか、判断に迷う方は多いでしょう。
そこでこの章では、家をつくる側の視点から、特に傷や不具合が起きやすい場所はどこか?どうやってチェックするか?という切り口で整理しました。
目で見て分かるものと、実際に触ったり動かしたりしないと分からないものとに分けています。
この中のいくつかは、実際に私自身も施主様から指摘を受けた経験があり、記事の後半でその時の様子もあわせて紹介します。
項目数が多いですが、すべて覚える必要はありません。
内容を見て、「これは見逃しそう」というところだけでも頭に入れておくとよいでしょう。

目で見て気づくもの

目で見れば気づけるものです。
ただし、気づきにくいポイントもあるので、コツとあわせて紹介します。

玄関框(かまち)の傷

玄関で座って靴を履く際、ふくらはぎの裏が当たる部分、そこが玄関框(かまち)です。

段差になっているので物をぶつけやすく、特に角の部分は傷やへこみができやすいです。

意外と玄関まわりの確認を忘れがちなので注意しましょう。

建具枠(ドアまわりの木の枠)の傷

部屋の入口は幅が狭く、資材を運ぶ際にぶつけて傷やへこみができやすいです。

どの位置に傷がつくか分からないので、立った目線だけでなく、上から下までしっかり確認しましょう。

見えづらい上や下の方は、触って確かめると分かりやすいです。

窓まわりの汚れ

窓まわりはレールやサッシとガラスのすき間など、構造が複雑な場所が多く、汚れが残りやすいです。

掃き出し窓(出入りできる足元までの窓)は特に、しゃがんでレール部分までチェックしましょう。

キッチンまわりの傷

キッチンまわりはそこまで広くないので、背面収納の運搬・設置の際にぶつけて、キッチンの面材(扉や引き出しの表面)や、背面収納自体に傷がつく可能性があります。

こちらも、目線より低い位置はしゃがんで確認してみましょう。

床の傷・へこみ

こまかな傷やへこみは目立ちにくいので、光の反射を利用してチェックします。

窓の方を向いて立つと、自分と窓の間の床が光を反射して白く見え、そこに傷やへこみがくっきり浮かび上がります(黒っぽい床でも同様です)。

立ち位置をずらしたりしゃがんだりすると白く見える範囲が変わるので、動きながら広い範囲をチェックしましょう。

クロス(壁紙)のすき間・浮き・糊(のり)残り

クロスは92cm幅のものを縦に貼るので、壁面すべてつながっているように見えますが、実は92cm間隔で継ぎ目があります。

継ぎ目の処理が丁寧でないとすき間ができるので、よく確認しましょう。

また貼る際に糊が足りず、乾いてから浮いてしまったり、クロスを貼る前の下地処理が甘く、釘や柱の凹凸が浮き出てしまうことがあります。

そのほか、クロスを貼る際に使った糊が表面についたまま、跡になって残っている場合もあります。

釘や柱による浮きと、糊の跡は、床の傷チェックと同様に光の反射を利用して確認すると見つけやすいです。

壁の場合は壁の正面ではなく、壁際に立って斜めから壁を見る感じです。

塗装のムラ

カウンターの裏側・下側など、しゃがんだり寝転んだりしないと見えない部分に、ムラが残っている可能性があります。

付け忘れがないか

網戸・室内物干し・屋外物干し・カーテンレールなど、打ち合わせで決めたものが取り付けられていないことがあります。

これらは工事の最後に取り付けるため、付け忘れがおきやすいです。

土台水切り(外壁と基礎の間にある板金)の傷・へこみ

土台水切りは、薄い金属に塗装しただけのものなので、固いものが当たると簡単に傷がついたり、へこんだりします。

比較的錆びにくい素材ですが、傷が深いと錆が出やすくなります。

汚れだと思って見逃さないようにしましょう。

外壁・窓まわりのコーキング(つなぎ目を埋めるゴム状の素材)の隙間

外壁同士の継ぎ目や窓の周りは、コーキング材というゴム状の建材で、すき間なく埋まっているのが正解です。

コーキングにすき間ややり忘れがあると、そこから水が入り込む可能性があります。

1階を中心に、安全に確認できる範囲だけでもチェックしましょう。

仕様の間違い(色・形・高さなど)

打ち合わせで決めた色・形・高さなどと異なる仕上がりになっていることがあります。

木目調のホワイトが無地のホワイトになっていたり、カウンターの端がR(丸みをつける)ではなく角になっていたり。

図面や仕様書と照らし合わせて確認しましょう。

触ったり動かしたりして気づくもの

目で見ただけでは気づけないものもあります。
それらは「触る・動かす・使う」などしてみましょう。

戸や窓の締まり具合

建付けが悪いと、開き戸(押し/引いて開け閉めするタイプ)の場合、閉めても「カチッ」とラッチがかからないことがあります。
その状態だと、ドアノブを使わなくても扉を手で押すだけで開いてしまいます。
最後までカチッと閉まるか確認しましょう。

引き戸(横にスライドして開け閉めするタイプ)の場合、閉めた状態で建具枠との間にすき間ができる(向こう側の光が見える)場合があります。
余計なすき間は冷暖房効率が下がったり、家の中の換気の流れが乱れるため注意です。

引き戸の重さ・軽さ

引き戸には、ブレーキがついているタイプがあります。
これは戸を思い切り開け閉めしても、最後にブレーキをかけて、ゆっくり開く/閉まるという機能です。
ブレーキが強すぎると、開けはじめ/閉めはじめの時に戸が重くなり、逆に弱すぎると最後のブレーキが効きません。

新築なので躊躇するかもしれませんが、少し強めに開けたり閉めたりして、ブレーキの利き具合もチェックしてみてください。

違和感があるようなら、担当者に伝えれば調整してくれます。

扉・引き出しが他のものに当たらないか

ストッパーがなく大きく開くタイプの扉や引き出しは、開いた先の壁や家具に扉や取っ手がぶつかる場合があります。

ぶつかる場所にはゴム製の緩衝クッションが付くのが通常ですが、付けるのを忘れていることもあります。

キッチン、洗面化粧台(三面鏡も)あたりも忘れずにチェックしましょう。

引き出し・扉が全開にできるか

キッチンや洗面化粧台、トイレの壁付け収納など、壁にぴったりくっつけて施工されるものは、すぐそばの窓・建具の枠に当たって、引き出しや扉が全開にできない場合があります。

これは引き出しや扉をちょっと開け閉めしただけでは気づかないので、全開にするという確認が必要です。

鍵の施錠・解錠

窓サッシ・玄関ドアとも、立て付けが悪いと鍵がかかりにくく、防犯上の問題につながる可能性があります。

1ヶ所OKでも他にかかりにくい箇所があるかもしれないので、すべてチェックしましょう。

網戸の開閉動作

引き戸タイプは扉と同様に開閉を、ロールタイプはきちんと収納されるかを確認しましょう。

ロールタイプは、途中で引っかかったり、上下左右のバランスが悪い状態で開閉されることがあります。

照明の点灯・消灯タイミング

1つのスイッチで複数の照明が連動する場合、タイミングがズレている機器がたまにあります。

照明を見ながらスイッチをON/OFFして確認しましょう。

照明の色味(色温度)

昼白色・電球色など部屋ごとに指定していた場合、まれに取り違えられている可能性があります。

記憶があいまいなら仕様表と照らし合わせましょう。

電気・設備の通電確認

設備の裏の配線が忘れられていることもあるので、洗面化粧台、キッチンなどは一通り電源ON/OFFしてみましょう。

コンセントは、本当は一つひとつ通電確認した方がいいのですが、時間もかかるので、引き渡しを受けてからでも問題ないでしょう。

コンセントが通電していなかったら100%施工ミスなので、担当者に伝えれば直してもらえます。

インターホン

実際に、中と外で声が聞こえるか確認しましょう。

初期不良などで、音がならない、声が聞こえないという場合もあります。

水まわりの通水確認

洗面所・キッチンなどで水を出し、十分な量の水が出るか確認しましょう。

浴室は洗い場の床が濡れるので、無理に確認しなくてもOKです。

また、トイレの独立手洗いは、水はねが起きないよう、施工の段階で水圧を弱めに設定しています。
ただ、建物が完成して全体の配管に通水すると、水圧がさらに弱まり、ちょろちょろとしか出ないことがあります。
これはすぐに調整し直せるので、施主検査のタイミングでチェックしておきましょう。

工務店の打ち合わせスペースで、夫婦と住宅営業担当の男性が机を囲んで図面を広げながら和やかに話し合っている場面

打ち合わせの段階からできること

実は、打ち合わせの段階からできることも2つあります。

① 傷や不具合を発生させにくくする工夫

1つ目は、自分が「細かいところまで確認する人」だという印象を与えておくことです。

みなさんも仕事で、指摘が細かい上司が相手の時は、仕事をいつもよりやや丁寧に仕上げませんか?
普段手を抜いているわけではなく、いつもよりさらに丁寧にというイメージ。

工事の現場も同じで、「細かい」印象が現場まで伝わっていると、担当者や職人が、いつも以上に気を遣って作業しているなと感じることが多かったです。
何度も言いますが、何も伝えなければ手を抜かれるという意味ではなく、伝えておくことで”いつも以上に”気を遣ってもらえるということです。

結果として現場がきれいに保たれるので、物を落とす・蹴とばす・ぶつかるといった、傷や汚れにつながるきっかけそのものが減ります。

具体的な「細かい人」の行動の例は、
・今後の具体的な進め方を細かく確認する
・見積りなどの金額を細かくチェックする
・仕様に関して種類やメリットデメリットまでいろいろ質問する
などです。

私も現場に行き、営業の立場からも「今回のお施主様は細かいところも気にされる方なので、いつも以上に整理整頓と掃除をお願いします」と伝えていたことがあります。
言い過ぎると決まり文句だと思われるので、バランスを見ながら。
かなり効果アリでした。

② 入居後の指摘を聞き入れてもらいやすくする工夫

2つ目は、営業担当や現場担当と、良好な関係を築いておくことです。
関係ができていると、施主検査で見つけきれなかった部分についても、入居後に気軽に相談しやすくなります。
入居後の指摘にも対応してもらいやすくするための具体的な伝え方は、次の章で紹介します。

引き渡し後の指摘にも対応してもらうコツ

施主検査は、担当者と一緒に回れる時間が限られていて、家じゅうすべてを完璧にチェックするのは難しいです。
だからこそ、検査後もしばらくは指摘に対応してもらえるよう、担当者に一声かけておくことをおすすめします。

入居後対応の有無を引き出す聞き方

私が働いていた会社では、施主検査の時にすべて確認するのは大変だからと、入居後の指摘も受け付けていましたが、すべての会社が同じとは限りません。

今、家づくりを依頼している会社が、入居後の指摘にも対応してくれるかどうか、まだ分からない場合は、聞き方を工夫してみましょう。

ここでのゴールは、担当者自身の口から「入居後の指摘にも修繕対応します」という言葉を引き出すこと。
少しいじわるですが、その言葉に誘導するために、担当者に「施主検査の場ですべてをチェックしきる方法は?」という聞き方をしてみるとよいです。

具体的には、以下のような流れになれば成功です。

【例①】

お施主様:「他のお客さんは、この短い時間でどうやって全部チェックしてるんですか?」
担当者:「さすがにこの時間ですべては難しいので、ご入居後しばらくは修繕対応いたします」

⇒ この流れがベスト。なんの文句もありません。

【例②】

お施主様:「他のお客さんは、この短い時間でどうやって全部チェックしてるんですか?」
担当者:「そこまで細かくはチェックされていませんよ。ざっと見て気づいたところだけ指摘されています」
お施主様:「そしたら、気づけなかった箇所は直してもらえない感じですか?」
担当者:「いえ、そういうわけではありません」(=修繕対応します)

⇒ 一瞬怪しい感じですが、結果としてはOK。

ただ、会社によっては、施主検査での指摘だけをお願いされ、入居後の対応はしてもらえない可能性もあります。
その場合は、その場で時間をかけてでもしっかり確認するか、入居後は明らかな施工不良だけを指摘する、という形になるでしょう。

入居後はできるだけ早く家じゅうをチェックする

施工会社が、入居後の指摘を受け入れてくれようがくれまいが、入居後はできるだけ早いタイミングで、家じゅうをあらためてチェックしておきましょう。
検査の短い時間では気づけなかった箇所はかなりあるはずです。

入居後の指摘は受け入れないと言われていても、早いタイミングで伝えれば、施工不良として対応してもらえるかもしれません。
コンセントが通電していない、水の出が悪い、鍵が閉まらないなど、施主の使い方が原因で起きるものではない不具合は、明らかな施工不良なので、遠慮なく伝えましょう。

なぜ会社によって対応が分かれるのか

ちなみに、なぜ会社によって対応が分かれるのかも説明しておきます。
これは、傷や不具合の責任の所在をはっきりさせておきたい、という会社側の事情によるものです。

施主検査の場で見つかった傷や不具合なら、施工会社の責任なのは明らかです。
ですが、お施主様が入居した後は、それが施工中についた傷なのか、住んでからついた傷なのか、時間が経つほど証明しづらくなっていきます。

仮に、どちらの責任か分からない傷に対して、お施主様から「入居した時点の傷だ」と言われた場合、施工会社は、トラブルを避けるため、会社負担で対応することを選ぶでしょう。
もしそれがお施主様のつけた傷なら、会社としては損失になります。

だからこそ、時間が経ってからの指摘に慎重になり、施主検査以降の指摘は受け付けない会社が出てくるのでしょう。

とはいえ、お施主様からすると、本当に入居時点からあった傷は直してもらわないと困りますよね。
そのためにやっておくべきことは、写真撮影です。
施主検査のときや入居してすぐに、いろいろな箇所の写真を、なるべく高画質で撮っておきましょう。
基本的に、入居時点の状態を記録しておけば、それを証拠として修繕を依頼できます。

指摘の伝え方で気をつけたいこと

指摘そのものは、遠慮せずに伝えて問題ありません。
ただ、伝え方次第で、その後のやり取りの空気感が変わってくることには注意です。

「ここ、傷がついてますよね」と事実だけを突きつけるより、「ここ、少し気になったので確認してもらえますか」というように、確認をお願いする形で伝えてみましょう。
担当者も人間なので、頭ごなしに指摘されるより、相談として持ちかけられる方が前向きに対応しやすく、施工側のミスも、伝え方次第で、後々こちらに有利な材料になることがあります。

私も実際、お施主様とこんなやり取りをしたことがあります。
現場の確認ミスで、引き戸の取り付け向きが逆になっていたことがありました。
一度余計なところにネジ穴をあけてしまっているため、お施主様から「壁もやり直して」と言われればやり直すしかない場面でした。
それでもそのお施主様は「正しい位置に付け替えてくれればいいです」と快く受け止めてくれました。
後日お詫びとして、工程的にまだ変更可能な仕様の中から、お施主様の希望するグレードアップを無償で対応させていただきました。

営業担当や現場担当と良好な関係を築いておくと、多少細かい指摘でも、気持ちよく対応してもらいやすくなります。

実際にあった指摘・トラブル事例

ここまで、施主検査の基本的な進め方や考え方をお伝えしてきました。
ここからは、私が立ち会った施主検査の前後で、実際にあった指摘やトラブルをいくつか紹介します。

窓枠・建具の色違い

実際に窓枠や建具を、契約時と違う色で発注してしまっていたケースがありました。
打ち合わせの段階で一度仮の色をメーカーに伝えていたのを、そのまま本発注にかけてしまったのです。
部材を発注した担当と現場の施工者が別だったこともあり、誰も気づかないまま取り付けまで進んでしまいました。
施主検査で指摘を受け、最終的には和解金をお支払いすることになった、大きなトラブル事例です。

こうした行き違いを防ぐために、打ち合わせで決定した内容は、仕様書や図面に確実に反映してもらいましょう。
書面に残しておけば、行き違いが起きたときの話し合いもスムーズになります。

仮に、窓枠や建具のような部材は、いったん取り付けてしまうと簡単には取り外せません。
そうなると、選べるのは「希望と違う家に住み続けるか」「引き渡しを延期してやり直してもらうか」の二択になりかねません。

だからこそ、色や仕様にこだわりがあるところは、取り付けの早い段階で一度自分の目で確認しておくとよいでしょう。

給湯器の操作ボタン

給湯器の操作ボタンに関する指摘もありました。

この物件で取り付けた給湯器の操作パネルは、「メンブレンスイッチ」というタイプのボタンでした。
ビニールのようなシートで覆われた造りのボタンで、電子レンジや炊飯器のボタンでもよく使われています。
このタイプのボタンは、長く使うとシートの表面が劣化して破れてくることがあります。

お施主様は押し込むタイプの硬いボタンを想像していたそうですが、ボタンの種類について具体的な要望をうかがってはおらず、私たちからも説明していませんでした。
お施主様が硬いボタンを好まれると分かったのは、施主検査の場でした。
結局、操作パネルだけの交換はできず、そのまま使っていただくことになりました。

ここでは給湯器のボタンの話でしたが、それ以外でも、見た目や機能が同じでも劣化のスピードが違うものがいろいろあります。
価格や見た目との兼ね合いもありますが、長く使うという視点で選ぶのも大切です。
細かな部分も、その都度担当者に質問しながら、仕様選びを進めていくのが良いでしょう。

ダウンフロアの框裏(かまちうら)の塗装ムラ

これは施主検査ではなく、入居後に指摘を受けた話です。

リビングの一部を低くしたダウンフロアの框(かまち)の裏(段差の断面をぐるりと囲む木材の裏側)、寝転ばないと見えない部分に、塗装のムラが残っていました。
丁寧さが足りなかった点は申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、それと同じくらい、よくそこに気づいたなと驚かされた指摘でもありました。

見えない場所の仕上がりまで指摘するのは、細かすぎるだろうかと心配になるかもしれません。
ですが、施工者側も見落としに気づけていただけて助かった、という気持ちの方が大きいものです。
普段見えない場所や、機能的に問題がないことでも、気になったものは伝えて問題ありません。

ここで紹介した3つの事例からは、「決定事項は書面に残す」「見た目だけでなく劣化のしやすさも確認する」「見えない場所でも気になったら伝えていい」という、それぞれ違う教訓が見えてきます。
他人事とは思わず、ご自身の施主検査でも参考にしてみてください。

新築の家のリビングで、夫婦がソファでくつろぎながら、運び込んだ段ボールに囲まれて笑い合っている場面

神経質になりすぎないという心構え

ここまで、見落としを防ぐための工夫をいろいろお伝えしてきましたが、最後に一つだけお伝えしたいことがあります。
それは「施主検査であまり神経質になりすぎない」ことです。

たとえば、カウンターの高さを床から120cmと頼んでおいたのに、119cmで仕上がってきたとします。
置く予定だったワゴンが入らないなど実際に支障が出るなら指摘すべきですが、使い勝手に問題がないなら、その1cmにこだわって気分を乱すのは、かえって損かもしれません。

住み始めれば、生活の中で家には必ず傷や汚れがつきます。
構造や設備に関わる不具合や、暮らしに支障が出る点はしっかり確認して遠慮なく指摘すべきです。
ただ、見た目の細かい傷にまで完璧を求めすぎると、住み始めてからも気になり続け、かえって新生活を楽しめなくなってしまいます。
「ここから先は自分たちの暮らしで作っていく味」だと捉えるくらいの余裕を持っておくのがおすすめです。

まとめ

施主検査について、見落としを防ぐ具体的なチェックポイントから考え方まで見てきました。

  • 施主検査は、完成した住宅を施主自身の目で確認する工程
  • 傷・不具合が起きやすい場所を知っておくと、チェックの精度が上がる
  • 打ち合わせの段階から、几帳面な印象と良好な関係を築いておくと、現場対応にも入居後のお願いにも役立つ
  • 施主検査の場で、入居後に気づいた箇所も対応してもらえるか聞いておく
  • 指摘は遠慮せず、伝え方を工夫する
  • 神経質になりすぎず、住み始めてからの暮らしも楽しむ余裕を持つ

施主検査は緊張や不安があるかもしれませんが、事前に流れと考え方を知っておけば、必要以上に構えなくても大丈夫です。
当日は落ち着いて、気になったところを一つずつ確認していきましょう。

このブログについて
Life-note Lab 管理人
さじ

会社員歴20年|40歳でフリーランス転向|ブログ×Webライティング×見習い農家|前職も非常勤で継続|自分に合う生き方を再設計中

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