上棟式とは?流れ・ご祝儀の相場から、実は誰もやっていない現場のリアルまで元住宅営業が解説

上棟式とは? 住まい
この記事は約7分で読めます。

「上棟式って、結局やった方がいいのかな」
そう思って、このページにたどり着いた方も多いのではないでしょうか。

流れは?費用は?ご祝儀はいくら包めばいい?
調べるほど分からないことが増えて、余計に迷ってしまいますよね。

私は地方の工務店で、住宅営業として8年間働いてきました。
地鎮祭には数多く立ち会ってきましたが、実は上棟式について、正式な形で担当したことは一度もありません。

理由は単純です。
担当したお客さんの中に、神主さんを呼んでの上棟式をした方が、ひとりもいなかったからです。

この記事では、そんな「上棟式の今」のリアルな現場感覚に加えて、一般的に知られている流れ・費用・ご祝儀の相場もあわせてお伝えします。
読み終わるころには、上棟式をやるかどうか、自分なりの判断がつくはずです。

骨組みが組み上がった建方現場の様子

そもそも上棟式とは?やらないと失礼になる?

結論から言うと、上棟式は「建物の骨組みが完成したことを祝い、これからの工事の安全を祈る儀式」です。
そして、地鎮祭と同じく、法律で義務づけられたものではありません。

もう少し噛み砕くと、上棟式は「棟木(むなぎ、屋根の一番高い位置に取り付ける横架材)を無事に取り付けられたお祝い」というイメージです。
骨組みを組み上げる「建方(たてかた)」という工事が終わったタイミングで行われます。

やらないと現場の方に失礼になるのでは、と気になる方もいるかもしれません。
ですが、上棟式をするかどうかは、地鎮祭と同様、施主さんの判断に委ねられています。

地鎮祭については、こちらの記事もあわせてご覧ください。

家づくり全体の流れの中で、上棟式や地鎮祭がどのタイミングにあたるのかは、こちらの記事で解説しています。

上棟式と「建方」って何が違うの?

上棟式について調べていると、「建方(たてかた)」という言葉もよく出てきますよね。
この2つ、実は別物です。

建方とは、柱や梁、棟木を組み上げて、家の骨組みをつくる工事そのものを指します。
上棟式は、その建方が終わったことをお祝いする儀式のこと。
つまり、建方は「工事」、上棟式は「イベント」という関係になります。

最近は、木材を工場であらかじめ精密に加工しておく「プレカット工法」が主流になったこともあり、建方自体は1日で終わるケースも多いです。
とはいえ、在来工法(伝統的な木造軸組工法)で2階建てとなると、2日ほどかかることもあります。
上棟式をしない場合でも、この骨組みが一気に組み上がっていく様子は、見ていて迫力があります。
上棟式はしなくても、建方の日だけは現場に見に行く、というお客さんも多かった印象です。

上棟式はやるべき?現場で見てきた「やる人はほぼいない」リアル

結論から言うと、上棟式は今、やらない選択をする方が大半だというのが、私の実感です。
実際に私が担当したお客さんの中で、神主さんを呼んで祝詞をあげてもらうような、正式な上棟式をした方はひとりもいませんでした。

これは私の会社だけの話でもなさそうです。
他の住宅会社の方と話していても、「上棟式はほぼやらないですね」という声をよく聞きます。

上棟式をするかどうか迷うお客さんに聞かれたときは、私はいつも正直に「皆さん、あまりやられていませんよ」とお伝えしていました。
そう伝えると、多くの方が「それなら特にやらなくてもいいか」と、あっさり決断されていました。

多くのお客さんが、儀式的なことは一切しないという判断でした。
そんな中でも、ひとりだけ違う対応をされた方がいます。

風水や祭事を大事にされる考え方の方で、「他のみなさんはどうされてますか?」と聞かれたので、正直にほぼ誰もやっていないことをお伝えしました。
結果、そのお客さんも神主さんを呼んでの上棟式はしないことに決めました。
ですが当日、赤飯とお神酒を用意して、大工さんをはじめとした現場の業者さんに配ってくれたのです。

現場の大工さんたちも喜んでいて、「これは気合を入れてやらないと」と、いつも以上に張り切っていたのが印象的でした。

正式な儀式でなくても、感謝の気持ちを形にする方法はいろいろあるのだと、このとき感じました。
上棟式をやろうか迷っている方は、こうした気持ちの伝え方も選択肢のひとつとして覚えておいてもらえたらうれしいです。

赤飯とお神酒を大工さんに手渡す施主

上棟式当日の流れ|3つの工程

正式に上棟式を行う場合、一般的には以下のような流れで進みます。

  1. 四方固めの儀:建物の四隅に水・塩・米・酒をまいて清める
  2. 幣串の取り付け:棟梁が棟木に幣串(へいぐし、安全祈願の飾り)を取り付ける
  3. 直会(なおらい):施主・工事関係者での宴会

地域によっては、このあとに紅白餅や小銭、お菓子をまく「餅まき」を行うこともあるようです。
私自身も一度だけ、餅まきに立ち会ったことがあります。
保育園の新築工事で、法人のお客さんが、園児向けのイベントとしてお餅とお菓子をまいたことがありました。

上棟式当日の流れを示した図解

私自身は正式な上棟式に立ち会った経験がないので、あくまで一般的に言われている流れとして紹介しました。
簡易的に行う場合は、この中の一部だけを行ったり、直会をお弁当の差し入れに置き換えたりするケースが多いようです。

上棟式にかかる費用の内訳

上棟式をきちんと行う場合の費用目安は、こちらの表を参考にしてください。

項目目安の費用備考
お供え物(米・塩・酒・野菜など)1万円程度施主が用意することが多い
ご祝儀棟梁(現場を仕切るリーダー的な大工さん)2〜3万円、その他の大工さん1人あたり5千〜1万円程度次の章で詳しく解説
引出物3千〜5千円程度参加者へのお土産
飲食費(直会)1人2千〜3千円程度宴会形式の場合

簡易的な上棟式であれば、全体で10万円程度が目安です。
神主さんを呼んだり餅まきをしたりする本格的な式になると、30万円程度かかることもあるようです。

地鎮祭と比べると、上棟式の方が費用はかさみやすい印象です。
建方の日は、一気に骨組みを組み上げるために大工さんが数人がかりで入ります(普段は2〜3人程度ですが、建方の日だけは多めの人数になります)。
祭事としてしっかり行う場合は施工会社のスタッフも参列するため、その人数分の飲食費が積み重なるからです。

金額は地域や施工会社によって差があります。
迷ったら、契約前の段階で担当者に確認しておくと安心です。

ご祝儀の相場と渡し方

ご祝儀は、上棟式とセットのものだと思われがちですが、実は儀式の有無に関わらず、施主から工事関係者へ直接渡すお礼のお金のことです。
上棟式をきちんと行う場合はもちろん、上棟式自体をしない場合でも、感謝の気持ちとして別途ご祝儀を渡すケースもあります。

用意する場合は、のし袋に「紅白の蝶結び」の水引を使います。
表書きの上段に「御祝」または「御祝儀」、下段に施主の名前を書くのが基本です。
新札を用意し、式典のあとに直接手渡しするのがマナーとされています。

とはいえ正直なところ、ご祝儀まで用意するお客さんは、私が担当した中ではほとんどいませんでした。
むしろ、次に紹介する「差し入れ」を選ぶ方の方が多かった印象です。

大工さんへの差し入れという選択肢

ご祝儀の代わりによく選ばれていたのが、飲み物やお菓子などの「差し入れ」です。
差し入れなら、金額もかしこまった作法も気にせず渡せます。

タイミングは、建方作業の休憩時間か、作業がひと段落した終業前がおすすめです。
現場で動いている大工さんの手を止めすぎない配慮も、地味に喜ばれるポイントでした。

上棟式そのものをしない場合でも、現場に差し入れだけ持っていくという選択肢はおすすめです。
先ほどの赤飯とお神酒のお客さんのように、形式にこだわらず感謝を伝える方法は、意外といろいろあります。

現場の休憩スペースで大工さんに差し入れを渡す施主

元住宅営業だから言える、上棟式のホンネ

最後に、営業として現場を見てきた立場からの感覚を、少しだけお伝えします。

上棟式が減ってきている背景には、いくつかの理由があると私は感じています。
プレカット工法の普及で建方が1日で終わるケースが増えたこと、共働き世帯が増えて平日に式典の時間を取りにくくなったこと、そして家づくり自体にかかる費用意識が年々高まっていること。
こうした事情が重なって、簡略化が進んでいるのでしょう。

「上棟式をしないと、大工さんに手を抜かれるのでは」と、心配される方もいるかもしれません。
ですが、施工の丁寧さと儀式の有無は関係ありません。
大工さんは、上棟式のあるなしにかかわらず、同じように丁寧に仕事をしてくれます。

ただ、上棟式をしなかったからといって、後悔したお客さんを私は見たことがありません。
建方の様子を見に行くだけでも、家が形になっていく感動は十分に伝わります。
そこに赤飯やちょっとした差し入れを添えるだけで、感謝の気持ちは十分に届くはずです。

個人的な感覚を言うと、上棟式は特にやらなくていいと思っています。
一切何もしないというお客さんが多いのも事実ですし、それで困ったという話も聞きません。
それでもやるとしたら、飲み物やお菓子の差し入れくらいが、ちょうどいいバランスだと感じています。
費用を抑えながら、現場の士気を上げる効果もしっかり期待できるからです。

まとめ

上棟式は、建物の骨組みが完成したことを祝い、工事の安全を祈る儀式です。
地鎮祭と同じく、法律上の義務ではなく、施主さんの判断に委ねられています。

そして今の実感として、正式な形で上棟式をする方は、かなり少数派になってきています。
私が担当したお客さんの中にも、神主さんを呼んでの上棟式をした方はいませんでした。
他の住宅会社の方から聞いても、同じような話をよく耳にします。

だからといって、感謝の気持ちを形にする方法がないわけではありません。
赤飯とお神酒、あるいはちょっとした差し入れでも、現場の方にはきちんと伝わります。

上棟式をやるかやらないか、迷っている方も多いはずです。
この記事が、納得のいく判断をするための参考になればうれしいです。

このブログについて
Life-note Lab 管理人
さじ

会社員歴20年|40歳でフリーランス転向|ブログ×Webライティング×見習い農家|前職も非常勤で継続|自分に合う生き方を再設計中

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