秋の夕暮れ、どこからともなく漂ってくる甘い香り。
そう、焼き芋。
い~しや~きいも~~~おいもっ。
焼き芋屋さんの発声は、どの地域でも同じなのでしょうか。
さて今回は、甘くてホクホク「さつまいも」を取り上げます。
私は昨年(2025年)から畑を始め、今、いろんな野菜の栽培に挑戦しています。
その中で、葉物野菜や果菜類(実がなる野菜)は、ことごとく「虫」にやられてきました。
地上は虫にやられるから、地中ならなんとかなるか?
と思い、比較的育てやすそうなさつまいもに目をつけています。
栽培に向けていろいろ調べている中で、品種によって甘さや食感がだいぶ違うことを知りました。
合う料理(ご飯系とかスイーツ系とか)も違います。
今回は、特に人気の高い紅はるかとシルクスイートを中心に比較してみました。さらに、紅あずま・鳴門金時との違いも見ていきます。
- 紅はるか
- シルクスイート
- 紅あずま
- 鳴門金時(なるときんとき)
これらはスーパーなどでの取り扱いが多いので、育てる前に味を知っておくという時も、手に入りやすいです。
結論から言うと、紅はるかとシルクスイートは、甘さも食感も向いている料理もしっかり違います。紅あずま・鳴門金時まで含めると、その違いはさらにはっきりします。
食べる・つくるどちらの目的でも、こちらの記事をぜひ参考にしてみてください。
※品種の正式な登録名はひらがな・カタカナ表記(べにはるか、ベニアズマ等)ですが、この記事では一般的によく使われている表記(紅はるか、紅あずま等)で統一しています。
この記事で分かること

紅はるかとシルクスイート、何が違う?
さつまいもの人気品種は、ここ数年で大きく変わってきました。
昔は、紅あずまや鳴門金時のような、ホクホクとした食感の品種が定番でした。
しかし近年は、紅はるかやシルクスイートのような、甘みの強いねっとり系の人気が高まっています。
紅はるかとシルクスイートを中心に、定番だった紅あずま・鳴門金時も交えて比較していきます。
甘さ・食感・向いている料理を比較
まずは、4品種を表でくらべてみます。
| 品種 | 甘さ | 食感 | 向いている料理 |
|---|---|---|---|
| 紅はるか | とても甘い(蜜のような濃厚な甘さ) | ねっとり系 | 焼き芋・干し芋 |
| シルクスイート | 上品でやさしい甘さ | しっとりなめらか、繊維少なめ | 焼き芋・スイートポテト・お菓子 |
| 紅あずま | やや控えめ、素朴な甘さ | ほくほく系 | 天ぷら・大学いも |
| 鳴門金時 | あっさりした甘さ、芋の風味が強い | ほくほく系 | 天ぷら・炒め物・味噌汁の具 |
紅はるか・シルクスイートはねっとりとした食感で甘みも強く、紅あずま・鳴門金時はほくほくとした食感で甘さは控えめです。
大きくは「スイーツ向き」と「料理向き」に分かれますね。
それぞれの品種について、もう少し詳しく見ていきましょう。
紅はるかの特徴
紅はるかの一番の特徴は、なんといっても蜜のような濃厚な甘さです。
焼くだけで、そのままスイーツになってしまうほどの甘さがあります。
干し芋にしても甘みがしっかり残り、しかも中身がきれいな黄金色に仕上がるので、見た目の良さも評価が高いです。
紅はるかという名前は、見た目や味の良さが、他の品種より「はるかに優れている」ことに由来しているそうです。
2010年に品種登録された、4品種の中でも新しい部類の品種で、九州でつくられています。
新しい品種ながらも人気が出たのは、やはりこの甘さが際立ったのでしょう。
シルクスイートの特徴
シルクスイートは、紅はるかよりも甘さが控えめで上品な味わいです。
繊維が少なくなめらかな舌触りが特徴で、焼き芋はもちろん、スイートポテトや洋菓子にもよく使われます。
名前の「シルク(絹)」は、まさにこのなめらかな舌触りの良さから付けられたそうです。
「春こがね」と「紅まさり」という2つの品種をかけ合わせて生まれ、2012年から苗の販売が始まった、紅はるかと同じくらい新しい品種です。
がっつり甘い紅はるかに対して、シルクスイートは上品な甘さとなめらかさを楽しみたい人向けと言えます。
紅あずまの特徴
紅あずまは、紅はるかと比べると甘さは控えめで、ほくほくとした食感が持ち味です。
天ぷらや大学いもなど、加熱してほくほく感を活かす料理に向いています。
紅あずまは1984年に登録された品種で、4品種の中でも比較的歴史があります。
茨城県や千葉県など、関東を中心に栽培されています。
甘さより素朴なさつまいもの味わいを楽しみたいときや、昔ながらのほくほくとしたさつまいもを味わいたいときにおすすめです。
鳴門金時の特徴
鳴門金時は、紅あずまと同じくほくほくとした食感で、甘さはあっさりめ、芋そのものの風味が強いのが特徴です。
天ぷらや炒め物、味噌汁の具など、いろいろな料理に使いやすい品種です。
実は鳴門金時という名前、品種そのものの名前ではなく、いわば「あだ名」のようなもので、本当の品種名は「高系14号」。
ロボットみたいな名前ですね。
実はこの高系14号、1945年に登録された、4品種の中で一番歴史のある品種でもあります。
それを、四国の鳴門海峡近くの砂地で育てたものが、鳴門金時です。
砂地は水はけが良く、適度に水分が抑えられることで、甘みがぎゅっと凝縮すると言われています。
関西では特によく食べられていて、京都や大阪のお店でもよく見かける品種です。
少し寝かせるとさらに美味しく
さつまいもは、収穫してすぐより、少し置いた方が甘くなります。
デンプンが糖に変わる「追熟(ついじゅく)」という現象です。
収穫後2ヶ月ほど貯蔵すると甘みが増し、旬の8月〜11月から、貯蔵で甘みがでる2月ごろまでが食べごろとされています。
中でも紅はるかは、この追熟による変化が大きい品種です。
収穫後1〜2ヶ月ほど寝かせることで、ねっとりとした食感と強い甘みが際立ってきます。
ただし紅はるかは低温に弱く、10℃以下で保存すると低温障害を起こして味が落ちるので、注意が必要です。
干し芋・スイートポテト・大学いもなど、品種に合った食べ方は、先ほどの比較表も参考にしてみてくださいね。

さつまいもを自分で育ててみる
最近は、家庭菜園で野菜を育てる人が増えています。
さつまいもは、痩せた土地でも育つ丈夫な野菜。
初心者でも比較的失敗しにくいのでおすすめです。
自分で育てれば、収穫する楽しみもありますし、買うより断然コスパがいいというメリットもあります。
また、マイナーな品種を育てれば、スーパーでは手に入らない品種を試せるのも楽しさのひとつです。
はっきりとした品種数は決まっていませんが、国の資料では49品種ほどが紹介されている一方、60品種以上、あるいは120種類を超えるという情報もあります。
それだけ多くの品種があるということは、選ぶ楽しみもそれだけ大きいということです。
あまり知られていない品種の中には、面白い特徴を持つものもあります。
- すいおう:茎の部分(葉柄)まで食べられる珍しい品種
- クイックスイート:電子レンジで加熱するだけでも甘くなる品種
- パープルスイートロード:鮮やかな紫色の果肉を持つ品種
- アヤムラサキ:色素の原料としても使われる、紫の色が濃い品種
興味のある品種の種や苗を買って、春ごろになったらぜひ栽培に挑戦してみてください。
品種による育てやすさの違い
4品種の中では、鳴門金時(高系14号)が家庭菜園向きと言われています。
生育が安定していて芋も肥大しやすく、病気への耐性もそこそこ強いため、初心者でも育てやすい品種です。
紅はるかも、サツマイモネコブセンチュウやつる割病に比較的強いと言われています。
一方、シルクスイートや紅あずまについては、特に強調されるような耐病性の情報は見当たりませんでした。
どの品種を選んでも、これから紹介する基本的な栽培のポイントを押さえておけば、大きな失敗は避けやすくなります。
植え付け・収穫の時期
さつまいもの植え付けは、5月中旬から下旬ごろが目安です。
収穫は10月ごろ、霜が降りる前までに済ませます。
植え付けから収穫までは、だいたい120日から140日くらいです。
土づくりのコツ
さつまいもは、日当たりと水はけの良い、やや乾燥気味の土を好みます。
目安となる土の酸度は、pH5.5〜6.0くらいです。
肥料をたくさん与えて土を肥やしすぎると、葉やつるばかりが茂ってしまい、肝心のいもの部分が育ちにくくなります。
これは「つるぼけ」と呼ばれる状態です。
だからこそ、肥料(元肥)は控えめにしておきましょう。
あえて痩せた土地の方が向いている、というのがさつまいもらしいところですね。
収穫は霜が降りる前に
収穫は、霜が降りる前に済ませておくのが鉄則です。
実は低温障害は、保存中だけの話ではありません。
さつまいもは、地温が9〜13℃以下になると「低温障害」を起こします。
人間で言う霜焼けのようなもので、いもの細胞が壊れてしまう状態です。
掘った直後は見た目に問題がなくても、貯蔵している間に中身が茶色く変色したり、ぶよぶよに軟らかくなったり、苦味が出てきたりすることがあります。
だからこそ、収穫のタイミングを逃さないことが、そのあとの美味しさを左右します。
栽培でよくある失敗と原因
さつまいも栽培でよくあるのが、病気や害虫による被害です。
主な病気をまとめました。
| 病気 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| つる割病 | 土の中の菌が、苗の根の傷から入り込んで発症する | 苗を植える前の消毒、同じ土で作り続けない |
| 基腐病(もとぐされびょう) | 土の中の糸状菌(カビの一種)が茎から感染する。近年被害が拡大し、特に南九州で深刻化している | 健康な種いもを使う、水はけの良い畑にする |
害虫では、アブラムシが養分を吸ったりウイルス性の病気を運んだりすることがあります。
また、コメツキムシの幼虫であるハリガネムシが、土の中でいもを食べてしまう被害も見られます。
地中なら虫の心配はないだろうと思っていましたが、そう甘くはなかったようです。
こうした病気や虫による被害は、品種選びというよりは、その年の大雨や高温といった天候が影響していたケースも少なくありません。
品種そのものよりも、天候や栽培環境、そして病害虫への対策が原因だった、ということです。
とはいえ、品種ごとにかかりやすい病気やつきやすい虫に違いはあるため、つくる品種に合わせたお世話が必要です。
まとめ
紅はるか・シルクスイート・紅あずま・鳴門金時、4品種の違いを見てきました。
- 紅はるか・シルクスイートは甘みの強いねっとり系、紅あずま・鳴門金時はほくほく系のあっさりした甘さ
- 保存性を活かして、追熟させたり、加工して楽しんだりする方法もある
- 自分で育ててみるのも、食べ比べの楽しみ方のひとつ
- 育てる場合は、品種による育てやすさの違いと、植え付け・土づくり・収穫時期のポイントを押さえておく
- 栽培の失敗は、品種のせいだけでなく天候や病害虫の影響も考えてみる
気になる品種があれば、まずはお店で手に取ってみてください。
そして余裕があれば、自分で育てて味わってみるのもいいですね。


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