
キュウリの葉に、ぽつぽつと丸い穴が空いている。
フチじゃなくて、葉の真ん中に。
犯人はウリハムシだ。
で、写真の左下を見てほしい。
細いネギが植わっている。
これは虫よけのつもりで植えた葉ねぎだ。
「ネギを植えるとウリハムシ対策になる」と、あちこちに書いてある。
それを信じて植えた。
なのに、来た。
しかも、わりとがっつり食われている。
なんで効かないんだ……。
気になって、自分なりに試したり、調べたりしてみた。
結論から言うと、今回は効かなかった。
でも「ネギは無意味」って話じゃなくて、たぶん効かせ方を間違えていただけ——というところに落ち着きそう。
そのいきさつを書いてみる。
↓↓うちのきゅうりの葉についてたウリハムシ↓↓

ウリハムシ対策に「ネギ」を試してみた
そもそもコンパニオンプランツって?
ネギを植えた理由。
それは「コンパニオンプランツ」というやつだ。
一緒に植えると相性のいい植物のことで、害虫を寄せにくくしたり、病気を防いだり、育ちがよくなったり、味がよくなったり——いろんな効果があると言われている。
ネギの場合、よく言われるのが虫よけ。
ただ、これは先に言っておくと、調べていくうちに「ネギの本当の得意分野は、虫よりむしろ病気のほうかも」と思うようになった。
その話はあとで。
「ウリハムシはネギの匂いが嫌い」という定説
ネットでも本でも、だいたいこう書いてある。
「ウリハムシはネギの匂いが大嫌い。株元にネギを置いたり、刻んでまいたりすると効果的」。
なるほど、と思って、うちでもキュウリの隣に葉ねぎを植えた。
よくある対策。
これで安心、のはずだった。
実際にやってみた
ところが、ウリハムシは普通に来る。
葉ねぎはまだ10cmくらいで、鼻を近づけないと香らない。
匂いが足りないのかと思って、1週間ほど前、葉ねぎの先端を何本かちぎって、切り口から匂いが立つようにしてみた。
それでも、来てた。
ためしに、葉ねぎを一本ちぎって、その切り口を、葉の上にいるウリハムシに直接こすりつけてみた。
大嫌いなんでしょ、なら逃げるよね、と。
結果、無反応。
逃げもしない。
正直、こすりつけた個体が嫌がって逃げて、平気な個体だけが残っているのか、それとも新しいのが次々来ているのか、そこまでは判断できない。
でも少なくとも、目の前の一匹は、ネギを擦りつけられても平気そうだった。
結論から言うと、今回は効かなかった
そんなわけで、少なくとも今回のうちのキュウリでは、ネギが効いている実感はなかった。
ただ、「ネギは効かない」と言い切るのもためらう。
ネットを見ていると、「刻んでまいたら数日はウリハムシが減った」という人もいるからだ。
つまり、効いたと感じる人と、効かなかったと感じる人がいる。
なんで人によって結果が違うんだろう。
ここが気になって、ウリハムシの生態を調べてみた。
そしたら、効く・効かないが分かれる理由も、自分のネギがなぜ効かなかったのかも、なんとなく説明がつきそうな気がしてきた。
なぜ効かなかったのか?ウリハムシの生態から考える
ウリハムシはどうやってウリ科を見つけるのか
ウリハムシは、名前に「ウリ」が入っているだけあって、ウリ科の植物が大好物。
まず、ウリハムシがどうやってキュウリ(ウリ科)にたどり着くのか調べてみた。
最初は匂い。
ウリ科の植物が出す匂いを頼りに、「あっちのほうに、食えるものがありそうだ」と見当をつける。
次に色。
黄色や緑の、立ち上がったものに向かって降りていく。
黄色い粘着トラップにウリハムシがよく捕まるのも、この色に寄る性質を利用したものだ。
目っぽいのがついてるのは知ってたけど、ちゃんと見えてるのが驚き。
ここで大事なのは、匂いも色も、全部”着地する前”に働く手がかりだということ。
覚えておいてほしい。
かじって決める——ククルビタシンという「うまい」のスイッチ
降りたら、今度は葉をかじってみる。
ウリ科の植物には「ククルビタシン」という苦味成分がある。
といっても、普段とれるキュウリは、まず苦くない。
自分も、キュウリを苦いと感じたことは一度もなかった。
だから最初は「苦味なんてあるの?」と引っかかった。
調べてみると、苦味が強く出るのはユウガオやヒョウタンみたいなウリ科で、まれに食べてお腹を壊す事例があるらしい。
その苦味の正体がククルビタシンだ。
そしてキュウリでも、育つ環境によっては量が増えることがあるとか。
これは自分も今回はじめて知った。
ともかく、この苦味は、たいていの虫にとっては「まずい、危険」のサイン。
だから近寄らない。
ところが、ウリハムシにとっては逆らしい。
このククルビタシンが「うまい、ここは当たりだ」というスイッチになる。
ほかの虫が逃げ出す苦味を、ウリハムシは「これが自分の食い物だ」という目印として使っている。
だからウリ科ばかり狙うわけだ。
つまり整理すると、匂いと色は”着地前”の探すための情報、味(ククルビタシン)は”着地後”の場所決めのための情報。
二段構えになっている。
ネギの匂いは「忌避(きひ)」じゃなく「匂い隠し」だった
ここで、素朴な疑問がわく。
人間なら、ご飯を食べている途中で、急にものすごく嫌な匂いがしてきたら、さすがに席を立つ。
なのにウリハムシは、葉っぱを食べている時に、嫌いなはずのネギを切り口ごと擦りつけられても、平気で食べ続けていた。
これ、なんかおかしくない?
調べてみて、ようやく腑に落ちた。
ネギの効き方は、「嫌な匂いで追い払う」んじゃなくて、「キュウリの匂いを覆い隠して、見つけにくくする」ほうが主らしいのだ。
ウリハムシは、匂いを頼りにキュウリを探している。
そこへネギの強い匂いがかぶさると、肝心のキュウリの匂いがぼやけて、見つけにくくなる。
つまりネギが効くのは、ウリハムシがまだキュウリを探している段階——着地する前——だけ。
もう着地して食べている個体には、隠すべき匂いなんて、もう関係ない。
目的地に着いてしまったあとだから、いまさら匂いを覆っても意味がない。
ウリハムシは「嫌な匂いを我慢して食べていた」わけではなかったのだ。
そう考えると、擦りつけても無反応だったのも、当たり前の話だった。
匂いで”見つけにくくする”効果は、もう見つかってしまった虫に、直接こすりつけて効くようなものじゃない。
(ちなみに、ネギが本当に得意なのは、土の中の病原菌を抑えて「つる割れ病」みたいな病気を防ぐほう、という話もある。虫よけは、実はネギの本職じゃないのかもしれない。最初に「病気のほうかも」と書いたのは、これ。)
ウリハムシは、風に流されて”たまたま”来ている
もうひとつ、面白いことに気づいた。
ウリハムシは小さくて軽い。
だから、車や飛行機みたいに、風に逆らって狙った方向へまっすぐ進む、なんてことはできない。
匂いを感じて風上へ向かおうとはするけれど、風向きや風の強さには逆らえないはず。
結局のところ、最後は「流された先に、たまたま、うちのキュウリがあった」という偶然の要素が、かなり大きいんだと思う。
風まかせ、運まかせ。
そう思うと、なんだか憎みきれなくなってくる。
必死なんだな、と。
じゃあ、ネギはどう使えば効く可能性があるのか
ここから先は、正直まだ「予測」だ。
自分で「こう使ったら効いた」と確かめられたわけじゃない。
でも、生態から考えると、効かせ方の見当はついてくる。
植えるだけ・少量では足りない(はず)
ネギの匂いが効くのは、ウリハムシがキュウリを”見つけにくくする”段階だった。
だとすれば、勝負は匂いの濃さ。
どれだけ広い空間を、ネギ臭で満たせるか。
うちの葉ねぎはまだ高さ10cm程度。
鼻を近づけないと香らないレベル。
これじゃ、キュウリの匂いを覆い隠す”壁”には、まるでなっていない。
ネギを育て始めるタイミングが遅かった。
刻む・スプレーで”匂いを濃く”する
植えるだけで足りないなら、匂いを濃くする工夫がいる。
刻んで株元にまく、すりおろして水に溶かしてスプレーにする、みたいな方法。
実際、「ネギを刻んでまいたら数日は減った」という人がいる、と書いた。
これは「匂いの濃さが上がれば、多少は効く」という、さっきの予測と合う。
ただし、刻んだネギの匂いは抜けてしまうから、効果も数日まで。
やり続けないといけないのは地味に手間かも。
「来てから」では遅い——だから来る前に
そして、いちばん大事なのがタイミング。
匂いが効くのは着地前だけ。
もう来て食べている虫には効かない。
ということは、ネギを効かせたいなら、ウリハムシが来る前——苗を植えたらすぐ、周りが濃いネギ臭で満たされている状態を、先に作っておくしかない。
後出しじゃ間に合わない。
これも予測だけど、たぶん、そういうこと。
完璧に防ぐのは、たぶん難しい。だから「来る前提」で備える
完璧に防ぐ方法があるのかは、正直まだわからない。
少なくとも自分は、これだという答えにはたどり着けていない。
ただ、ここまで見てきたとおり、相手は風に流されて”たまたま”飛んでくる虫だ。
来るのを完全にゼロにするのは、たぶん難しい。
それなら、考え方を「来させない」から、「来る前提で、少しでも来にくくする」に変えたほうがよさそうだ。
“来る前”に準備しないといけない
匂いも、たぶん物理的な対策も、効くのは着地する前だけ。
だから来る前に準備しないといけない。
自分が試したのはネギ。
効かせるなら、さっき書いたとおり、きゅうりを植えたらすでにネギの匂いが濃い状態、が条件になりそう。
ほかにも、自分はまだ試していないけれど、よく言われている対策がある。
酢やコーヒー、シルバーマルチ(キラキラ光るものを嫌うらしい)みたいに”来させない”系。
防虫ネットやあんどんみたいに、物理的に”入れない”系。
どれも、来る前から仕込んでおくのが前提という点では同じ。
で、どれが自分の畑で効くのかは、結局、試してみるしかないと思っている。
しかも、年によって(その年の天気や、虫の多さで)効き目は変わるだろうし、どこまで手間をかけられるか、どこまでお金をかけるかも、人によって違う。
毎日ネギを刻むのが苦じゃない人もいれば、ネットを張るほうが楽な人もいる。
だから「これが唯一の正解」は、たぶん存在しない。
それでも来てしまったら、どうするか
どれだけ備えても、風と偶然までは止められない。
来るときは、来る。
来てしまったときに、いちばん確実なのは殺虫剤だ。
これはちゃんと効く。
ただ、使える回数には制限があるし(主に、作物への残留=安全性の話)、同じ薬ばかり使っていると効かない虫が増えてくる(抵抗性、という)。
だから、無限に頼れるわけじゃない。
ただ、できれば農薬は使いたくない、という人も多いと思う。
自分もそう。
そういうときに頼りになるのが、「株が十分に育ってしまえば、多少かじられても枯れはしない」という事実だ。
だから、無農薬でいきたいなら、現実的な目標は「育つまで守りきる」になる。
来る前の備えで数を減らしつつ、こまめに様子を見て、ウリハムシを見つけたら取り除く。
そうやって、株が大きくなるまでをしのぐ。
そこまでいけば、ひとまずは一安心とするしかない。
まとめ:今はまだ”予測”の段階
というわけで、今回うちのきゅうりにネギは効かなかった。
けれど、その理由をウリハムシの生態から考えてみると、「ネギが無意味」なんじゃなくて、「効かせ方を間違えていた、あるいはまだ早かった」だけかもしれない、というところまでは見えてきた。
次は、もっと早く+多くネギを植えてみる。
できれば刻んで、匂いを濃くして。
ウリハムシが来る前に、先に”匂いの壁”を作っておこう。
もちろん、これで効くと決まったわけじゃない。
でも、ただの思いつきじゃなくて、ウリハムシの生態から考えた見立てではある。
やってみる価値はあると思っている。
このブログは Lab(実験室)だから、うまくいったことも、いかなかったことも、また記録していく。
続きは、そのうちまた。
↓↓いろいろあったけど、無事きゅうりの赤ちゃん誕生↓↓

【参考】
■ Companion Planting and Insect Pest Control(IntechOpen)

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